8.伊賀上野

[12月中下旬]
    佐屋〜桑野〜四日市〜杖突坂〜上野

【芭蕉自筆影印】
①「ふるさとや」等二句懐紙

 ふる佐とやへその緒尓なくとしのく礼

よひのとし盤 空の名残おしまむ登 さけのみ夜ふ可して 元日飛るまてい袮多梨

 二日尓もぬ可里盤せしな花の者流

(ふるさとやへその緒になくとしのくれ

よひのとしは、空の名残おしまむと、さけのみ夜ふかして、元日ひるまでいねたり

 二日にもぬかりはせしな花のはる )

②「かちならば」句文懐紙
 さや(佐屋)より おそろしき髭奈と生多る 飛脚めき多るおのこ同船志希るに 折ゝ舟人乎袮めい可る尓 興さめて 山ゝの希しきうし奈ふ心地志侍る 漸ゝ桑名尓付て 處ゝ駕尓乗 馬にておふ(往)程 杖つき坂(馬子に)引(かせ)の本(登)すとて 荷鞍うち(ひっくり)可へりて馬よ利落ぬ ひとり多ひの和ひしさも哀増て やゝ(やっと)起あか礼者 まさ奈の(へたな)乗てや登 まこに盤志可ら礼て

 可ち(陸地クガチ・徒歩)なら者杖つき坂を落馬哉

終耳季の言葉いらす 

(さや(佐屋)より、おそろしき髭など生たる、飛脚めきたるおのこ同船しけるに、折ゝ舟人をねめいかるに、興さめて、山ゝのけしきうしなふ心地し侍る 漸ゝ桑名に付て、処ゝ駕に乗、馬にておふ(往)程、杖つき坂(馬子に)引(かせ)のぼ(登)すとて、荷鞍うち(ひっくり)かへりて馬より落ぬ。ひとりたびのわびしさも哀増て、やゝ(やっと)起あがれば、まさなの(へたな)乗てやと、まごにはしかられて、

 かち(陸地クガチ・徒歩)ならば杖つき坂を落馬哉

終に季の言葉いらず) 


【句碑】
①芭蕉生家
 伊賀市上野赤坂町304

 古里や臍のを尓泣としの久礼
(古里や臍のおに泣としのくれ)
「自筆『古里や』発句切を拡大」


②杖衝坂
 四日市市采女町3464付近
 R1横・旧東海道 住宅地・奥・坂上
 Google Mapsに句碑表示有

 歩行奈らは杖津き坂越落馬可那
(歩行ならば杖つき坂を落馬かな)


③詠地付近になし

(旅寝してみしやうき世の煤はらひ)(スス)




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